2021年 会報

News Letter Vol.12 June 2021

≪ごあいさつ≫

いつも立命館大学大学院経営管理研究科(RBS)の校友会RIMOの活動にご協力いただき、ありがとうございます。

ちょうど1年前のこの会報の原稿に、私は「2020年5月上旬現在、新型コロナウィルスの感染者が世界187ヵ国・地域で400万人を超え、うち死者数は27万人を上回るなど、猛威を振るっています」と記載しました。あれから1年経ち、コロナ過は収まるどころかさらに拡大し、現時点(2021年5月下旬)では、世界で1億7千万人が感染、死者数は352万人に達しています。RIMOや現役生のみなさんのビジネス、研究あるいは日常生活においても引き続き大きな影響を及ぼしているものとご推察します。

 そのコロナ過の影響の一つとして、今年もRIMOの年総会および懇親会は、誠に残念ながらリアル開催を見送ることとなりました。コロナが落ち着いた後に、またかつてのようにみなさんとお会いして親交を深められる日が来るのを楽しみにしております。

さて、そのコロナ下において、私自身のビジネスや私生活を取り巻く環境も大きく変化しました。コロナを機に、今までは当たり前で見過ごしていたことに気づき、深く考えるようになったこともあります。

 まず大きな変化としては、会社での働き方・成果の出し方は一つではなく、多様なスタイルが可能になったということです。現在は三密を避けるために、やむを得ず対応しているテレワーク(在宅勤務)ですが、これをうまく活用できればコロナ後の時代にも多様性を実現する手段になり得るのではと考えます。コロナ以外でもこの1年間で世界が大きく動き出した分野もあります。例えば、地球市民として、企業自身の社会的責任が大きくクローズアップされ、企業側からもESGへの取組みが積極的に発信され始めています。特に脱炭素社会への貢献においては、それに取り組まないことが企業にとってリスクになる上、逆に積極的にビジネス機会として動き始めている企業も増えています。

世の中はこれまでも様々な変化がありましたが、その変化のスピードや度合いがどんどん増しているのではないかとも感じられます。かつて私たちがMBAで学んだことは、その変化への対応に直接答えをくれるものではありませんが、それを考えるための基礎や考え方を与えてくれるのではないかと私は常々考えています。またみなさんと一緒にディスカッションできる機会があればと思います。

今後とも健康には十分にご留意ください。最後になりましたが、コロナ感染症の治療・予防・まん延防止に協力し対応していただいている医療従事者を含む全てのみなさんに、この場を借りて厚く御礼を申し上げないと思います。

立命館大学 MBA 校友会(RIMO)
会長 井ノ上大輔

修了生からのメッセージ

今回も、昨年度修了された新RIMOメンバーからメッセージをいただきました。今後、益々ご活躍されること思います。

  修士学位授与式の翌週、とある用事から長崎へと向かった。そのついでに、日本における株式会社の原型がいかなる場所で誕生したのか、その熱意の痕跡を確かめるべく、亀山社中跡を訪れた。亀山社中跡は風頭公園展望台の麓にあるのだが、展望台には創設者である坂本龍馬の像が建立されていた。そして、驚いた事にこの龍馬像は台座から足が半歩ほどはみ出ているではないか。その事に対して何の説明もなされていないのだが、私は「枠にとらわれるな。常識から踏み出せ」という龍馬像からのメッセージとして受け取った。かつて龍馬は「おまんは長州人か?土佐人か?」という質問に対して「いや、日本人だ」と答えたそうだ。当時、国としての日本という概念は一般的なものではなく、今の言葉に翻訳するならば「アメリカ人か?日本人か?」と問われて「地球人だ」と答えているようなものである。常識的な枠からはみ出さなくては、世界を変えることはできないのであろう。

  RBSでの学びの期間を「守」「破」「離」の3段階で例えるならば、「守」のphaseである。言わば枠の中であり、ネットで検索すれば得られるようなcommodity化された知識に競争優位性を高めるような価値はない。世の常識と今の自分に暫時寄り添いながらも、自分の正しさを、そして自分の常識を常に疑い続ける者だけが、「破」や「離」といった「変革者」そして「創造者」といったphaseに辿り着けるのだろう。RBS14期生はそれができると私は信じている。

世界は今、COVID-19のパンデミックにより、劇的に変わろうとしている。これはチャンスである。各々の業界において、時代を変革するようなリーダーがRBS14期生から現れる事を期待する。

経営管理研究科14期生
2021年3月修了 川本 達也

先生・修了生からのメッセージ

今年度は、新型コロナウィルス問題の中、様々な所で活躍されている方からのメッセージを頂きました。

観光ホスピタリティ

RBSは2021年度より、観光ホスピタリティ産業の将来を担う中核的な「経営人材」の育成を目的とする「観光ホスピタリティ履修証明プログラム」をスタートしました。

コロナ禍の中、観光ホスピタリティ産業の行末を不安視する向きがあります。コロナ禍からの一つの教訓は、天災や疫病、戦争により旅行需要はいつでも蒸発するのであって、それを乗り越えられる事業者のみが生き残る、ということでしょう。今こそ、高単価で勝負するモデルへの転換が求められているのです。

それでは、インバウンドはどうなるのか。心配はご無用です。関係者は2023年以降を見据えて既に動き始めています。日本はアジアの「綺麗なお庭」なのです。訪日客にとって、ランドセルを背負って徒歩で登下校する子供たちの姿でさえ、平和で美しい「異日常」の光景なのです。日本には魅力的なコンテンツが豊富にあります。これらを磨き上げ「価値」として提案していくことに各セクターは真剣に取り組む必要があります。その意味で2025年「大阪・関西万博」は、関西の都市ビジネスの発展に向けての試金石となるでしょう。

今回のコロナ禍により、私たちはZoomといったオンライン会議システムを知ることになりました。そんな中、「ワーケーション」が注目されています。また、居住地を1箇所に限定しない「多拠点居住」も選択肢になりつつあります。仕事と余暇、あるいは居住と旅行との境界に変化が生じており、ここから新たなビジネスが創出される可能性があります。

観光ホスピタリティ履修証明プログラムでは、RBSの教授陣の他、第一線で活躍する実務家等を講師に、旅館・ホテル等の各セクター、MICE、観光地経営等において必要とされる実践的な知識の修得を目指します。RBSは観光ホスピタリティ産業における「ビジネスを創造するリーダー」の輩出を通じて、大阪・関西における経済の再生・活性化に貢献したいと考えています。

プログラムの詳細 http://www.ritsumei.ac.jp/mba/seminar/tourism.html/

経営管理研究科副研究科長/
教授 牧田正裕

ホテル業界の近況            

3年前にコンフォートゾーンを出ようと選んだ転職先は、成長産業である観光分野の外資系ホテルでした。

マリオットインターナショナル・オークウッドワールドワイド・IHGと2回の開業1回のクローズ、1回のリブランドを行い、今は3回目の京都での開業案件に従事しています。オリンピック、大阪万博、カジノ開業と順調に成長傾向でしたが2020年のコロナ禍により状況が一気に変わりました。海外からのインバウンド消滅、レジャー、旅行控え、宴会の中止、学会はオンラインに、出張は禁止でZOOMに、と大打撃を受けました。クローズせざるをえないホテルが増え人材は異業種に流出しました。

 こうなっては今までの常識は通用せず、立地・設備・価格の優位性だけではなく新たな付加価値の軸を作ることが必要不可欠となりました。DXももちろん必要です。ホスピタリティを損なわず低コストで効率化するにはITの力なしにはできません。今後の日本のホテル業界はポテンシャルがあるにも関わらず営業終了や売却、休業などが増加することでしょう。外資系ファンドなどの金融主導での立て直しも増加することでしょう。

 そうなれば金融機関と対等に渡り合える人材は必要ですし、ワーケーション・サブスクリプション・住宅として利用するサービスアパート化以外にもホテルを再定義することが急がれます。私は苦境に陥ったホテル業界に身を置き、何ができるのかを日々模索しています。高い経営能力がホテル業界で必要とされる今、RBSで学んだことを実践で何かできないかと、またあわよくば皆さまにお知恵を拝借させていただけないかと思っているところです。

 経営管理研究科 5期生
2012年3月修了 高橋 厳美

RIMO活動紹介

昨年度のRIMO総会は、コロナ禍の影響で初の試みとしてオンライン開催で総会のみとなりました。
従来は、様々な交流活動、研究会、サークルなどコミュニティ活動が行われています。
まだまだリアルのコミュニティが難しい状況ですが、個別にはオンライン飲み会なども催されているようです。

RIMOコミュニティ活動(一例)

編集後記

昨年度から、新型コロナウィルスの影響によりRIMO会議をオンラインミーティングで実施するなど新たな方法で活動しています。今年度の会報は、新型コロナウィルスが続く中、新たな展開をされている先生や校友の方にメッセージをお願いお引き受けいただきました。ありがとうございました。もう少しの間、みなさんにお会いしての交流が難しい状況ですので、Facebookなどを活用して案内をしています。(RIMO広報)

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